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「カズマ、今年もすげぇな。」
翔太が休憩と言いながら、小上がりに腰かけて言う。
「みたいだね。」
「あれ、全部チョコなのか?」
お兄ちゃんも驚いているみたい。
「そうらしいよ。」
サラダと、だし巻き卵をつつきながら、ビールを飲む。
明日は久々のお休みだから、のんびり食べて、ビールを飲んで、カズマが後片づけを終えてから、一緒に帰ることにした。
翔太は一足先に家に帰った。
「おまたせ。」
そう言って、店に戻ってきたカズマは、もう紙袋を持っていない。
「…忘れ物?」
「ん?
ハナちゃんなにか忘れた?」
「いや、私じゃなくて。」
「え?」
「カズマ、紙袋…。」
「あ、あれは大丈夫。」
「どうして?」
「どうして、って…。」
困ったような表情を向けられた。
「チョコ、なんだよね?」
「あ、うん。」
「カズマにくれたのに?」
「うん。」
「食べないの?」
「食べなくはないけど。」
「食べるの?」
「…ハナちゃん?」
自分でもなにを言いたいのかわからなくなってきた。
「糖分取りすぎは良くないから。」
ひとつだけまだ残っている紙袋を、後ろに隠す。
「ハナちゃん?」
「食べ過ぎて、鼻血とか出たら困るし。」
「出ないよ。」
「だから、あげない。」
「え?」
「太ったら困るし。」
「ハナちゃん、意地悪しないでよ。」
寂しそうに笑っている。
「はい。
でも、多かったら食べなくていいから。」
マミちゃんの言うように、特別な日にはできそうにない。
無愛想に紙袋を差し出した。
「ホント?」
「…。」
「ホントにもらっていいの?」
「いらなかったら…。」
「いる!もらう!」
そう言って、ぎゅうっと抱きしめられた。
「か、カズマ?」
「ずっとずっと、欲しかった…。」
耳元で、囁く。
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