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仕事を終えてから、ホテルに泊まる案も考えたけれど、すぐ近くのホテルだから、休みの日の午前中に出発することにした。
お昼からお酒を飲んで、ホテルに到着して温泉に入って、休憩でビールを飲んで、また温泉に浸かる。
「あああ、もう幸せ~。」
暗くなってきた頃に、もう何度目かの露天風呂に浸かりながら、ミユキが言う。
「ホントだね。
ゆっくりしてる~って感じ。」
「少年、ヤキモチ焼かなかった?」
「あはは、大丈夫だよ。」
「少年とは、どこに遊びに行くの?」
「どこにしようかなぁ。
家でのんびりっていうのも、捨てがたいよね。」
「やだ、新鮮。
そういうのにも、飽きてくるから。」
「そうなの?」
飽きるほど、家でのんびりできるっていうのも、それはそれでノロケにも聞こえるけど。
「そろそろさぁ、子どももいたらいいなぁって思うようななったんだぁ。」
ううん、と伸びをしながらミユキが言う。
「そうなんだ。」
「けど、そればっかりは、自分の意志ではどうにもならないじゃん?」
「うん。」
欲しいと思って、授かれるわけじゃない。
「だから、私は私で準備したいなぁ、って。」
「妊活、って言われてるような?」
「あはは、そこまで本格的なことでもないけど。」
「?」
「一華とさぁ、高校生の頃からずっと一緒で、職場も一緒で。
すっごく楽しくてさ。」
「うん、私も。」
楽しくて、心強かった。
「一華のこと、大切な友だちってことは、ずっとずっと変わらないの。」
「ありがとう。」
「だけど、もし子どもを授かったら。
きっと子どもや家族が最優先になる。」
「うん。それは当たり前のことだよ。」
「今までみたいに、すぐ駆けつけたり助けてあげられなくなるかもしれない。」
「うん。」
「だけど、ずっとずっと一華が大事な友だちってことは、変わらないの。」
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