第10章

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「って、駆けつけたって、大した助けになってなかったかもしれないけど。」 「ミユキ…。」 「また来れたら、こうして二人で温泉入って、おいしいもの食べて、お酒飲んでってしたい。 もししばらく来られなくなっても、あああの時楽しかったなぁ、また行きたいなぁって思い出す。」 「うん。」 「なんか、毎日のように顔を合わせることにすっかり慣れちゃって、そうじゃなくなる生活なんて想像つかないけど。」 「そうだね。」 「妊活なんていうことより、もっともっと手前のところだと思う。」 「?」 「私の心の準備、なーんて。」 「ミユキ。」 「今は思いっきり食べて飲んで楽しむ! 子どもを授かれたら、今度は子どもと楽しむ! って出来たらいいなぁって。」 「うん、いいと思う。 応援する。」 「ありがと。」 「私も、ミユキのこと、すごくすごく大事だよ。」 「一華、ありがと。」 前に進む友だちのことを、引き留めるなんて出来ない。 せめて、そっと背を押す手伝いが出来たらいいな。 「久しぶりにミユキとのんびりできて、良かった。」 「私も。 それで?少年とは順調なの?」 「うん。」 「少年のことだから、つきあった瞬間、結婚するのかと思ったけど。」 「結婚を前提に…って話はしたよ。」 「そうなの!? 少年よく我慢して待ってるね。」 「カズマには、カズマの思うタイミングがあるだろうし?」 「あー、一人前になってからとか、そういうの?」 「ミユキって、カズマのことよくわかってるよね。」 お姉さんみたい…なんて言うと、怒りそうだから言わないけど。 「小さい頃から見てるから、思考回路が単純だよね。」 「あはは。」 「涼子にも久しく会ってないなぁ。」 「すごくキレイな人だよね。」 「気性も荒いけどね。」 「カズマは、暴君とか言ってたよ。」
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