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涼子さんの別れた旦那さんは、元々涼子さんの高校の先輩で、なにかのきっかけで親しくしていて、涼子さんがレンさんにフラれた後しばらくして、ふたりはつき合うことになった。
涼子さんが21歳の頃。
(元)旦那さんと結婚すると、話が進んでいた時に、
「涼子がレンさんにさらわれた、って。」
「へ?」
「涼子の旦那さんから、私のところに来てないかって連絡が来たの。」
「…。」
「その頃は、涼子と頻繁には会ってなくて、全然知らなくて。
結局3日後に帰って来たの。
レンさんと一緒に。」
「…。」
「涼子は、結婚やめたいって言ったんだけど、両家の挨拶も結納も済ませて、結婚式の招待状も発送済みで、それよりなにより、旦那さんは絶対に別れない、って。」
「…。」
全部許すから、戻っておいでって、旦那さんは譲らないし、レンさんも引かなかったけれど、急に涼子さんが、
’やっぱり、結婚する。’
って。
涼子さんは何事もなかったように、入籍をして結婚式をして、次の年に亮太郎くんが生まれた。
「…なんか、苦しい。」
話を聞き終えて、胸が苦しくなる。
「タイミングってのがあるのはわかるけど、きっとレンさんも引き継いだ会社を捨てるわけにはいかなくて…。」
「うん。」
「涼子も、思い続けるのが苦しくなるほどの思いがあったんだと思うし。」
「うん。」
「別れた旦那さんも、ずっと涼子のこと思ってて…。」
「うん。」
まわりが、’なんで’’どうして’なんて言うよりずっと、いろいろな思いを抱えているんだと思う。
「実はさ、翔太とユキちゃん別れちゃったんだよね。」
「そうなの?」
「ユキちゃん、妊娠したんだって。」
「へ?
まだ大学生じゃなかったっけ?」
「うん。
だけど、翔太とやり直したいって会いに来て。」
「えええ。」
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