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「今の彼とがんばるって、帰っていったよ。」
「うん、そうだよね。」
「なんかもう、いろんな思いに飲まれそう。」
「って、一華も大分ツラい思いしたと思うんだけど。」
「ははは。」
「普通って、なんだろう~!とか思う。」
「…うん。」
「みんな同じじゃないんだから。
普通、みたいな基準なんてどう作るのよ!
なーんて。」
「そうだよね。
カズマと翔太と暮らし始めた時、周りがどう思うか…って、すごく不安になったな。」
「今は?」
「誰かわかんない’周り’ってのに、負けなくて良かったなって思う。」
「うんうん。
自分の気持ちに正直にいたいよね。」
「そうだね。」
温くなったビールを飲み干した。
「そろそろ、寝よっか。」
「うん。」
ふかふかの布団は気持ち良くて、広いお風呂も、おいしいご飯も、大満足だけど…。
目を閉じた時にふと思うのは、カズマの待ってる家に帰りたいな…。
ゆっくり眠りにおちた。
少し早めに起きて、朝風呂を堪能して、朝食バイキングでお腹いっぱいで、ホテルを出た。
「楽しかったぁ。」
「うん!」
せっかくだから、最後まで贅沢をしようと、タクシーに乗り込む。
「目一杯、楽しんだから、仕事もがんばりますかぁ。」
「そうだね。」
お店の手前でタクシーを降りて歩く。
日常があるからこそ、特別が、特別だって思えるのかもしれない。
ミユキと二人で買った温泉まんじゅうを、休憩室に置く。
「一華先輩と、ミユキ先輩、どこか行ったんですかぁ?」
ごちそうさまです、と言いながら、後輩の子達がおまんじゅうをつまむ。
「うん、温泉行ってきたよ。」
「いいですねぇ。」
「楽しかったよ。」
休憩を終えて、午後の仕事もどんどん進めて、今日も仕事を終える。
帰る支度をして、お店を出る。
ほんの少しずつだけど、陽が長くなっている。
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