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翔太はまだ働いていたけれど、ひと足先にカズマと店を出た。
少し歩いたところで、
「カズマぁ。」
ふわりとタバコの煙が香って、
「レンさん。
なにしてんですか?
店まだ開いてますよ。」
「知ってる。」
ミユキから話を聞いたばかりなこともあって、私がドギマギしてしまう。
ポケットから取り出した、携帯用の灰皿にタバコを片づけた。
「姉ちゃんなら、まだ帰ってないですよ。
っつーか、帰るときは亮太郎も一緒なんで、別のタイミングで捕まえて下さい。」
「…了解。」
ため息まじりでそう答えると、
「妹、うちで手伝いしない?」
急にこちらに視線が向けられて、
「へ?」
間の抜けた返事をしてしまった。
「仕事忙しいんだっけ?」
「時期によりますけど…。」
「ハロウィンのイベント、結構好評だったから、次のイベント手伝ってくれないかと思って。」
「レンさん、ハナちゃんは好意で手伝ってくれただけで、これ以上は…。」
「カズマに聞いてない。
副業禁止?」
カズマには目もくれずに、まっすぐにこちらを向く。
「正式なことは、確認しないとわかりませんが、商店街のイベントに、うちの店も参加できるようであれば、店から派遣されてお手伝いをするという形で、仕事の時間外であれば、可能性はあると思います。」
「そっか、じゃあそのへん確認してもらえる?」
「わかりました。」
「もちろん、給料も出すから。
とりあえず、確認したら連絡ちょうだい。」
そう言って差し出された名刺を受け取った。
「あと、さ。」
レンさんの視線が、カズマに向く。
「亮太郎とも話したい場合は、どうすればいいわけ?」
困ったような、切ない笑みを浮かべた。
「なんで、そこまでするんですか?」
「お、カズマにそう言われるとは。」
「…。」
「そんなんわかったら、誰も苦労しねぇよ。」
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