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「じゃあね、一華ちゃん。」
片手を挙げて、歩いていった。
「…カズマ?」
「ハナちゃん、頼まれたからって、なんでもホイホイ請け負ってたら、倒れちゃうよ?」
「大丈夫だよ。
それに、嫌だと思ったら断る。」
「ほんと?」
「ほんと。
あと、ちょっと嬉しい。」
「?」
「自分を必要とされてるのが。」
「ハーナーちゃん、オレはいつでもハナちゃんが…。」
カズマの口を手のひらで押さえる。
「レンさんとも、話してみたいって思ってたから。
お兄ちゃんもお世話になってるしね?」
「全然、独り占めできない!」
「カズマだって、そうだからね?」
「え?」
「けど、寝癖ついた頭で、ボーッとしてたり、隣で眠ってたり、家でご飯食べてるカズマは、私だけが知ってるって思うから…。」
「ハナちゃん…。」
「なーんて、」
ちょっと恥ずかしくなる。
「うん、そうだね。
よし、帰ろう。
それで、今日も一緒に寝よう?」
「…うん。」
「あ、せっかくだから、お風呂も一緒に…。」
「入りません!!」
「えー!!」
えー、じゃない!
そんなことできるわけないよ。
次の日、早速ミユキに事情を話してみた。
「うちの会社、副業禁止にはなってないはずだよ。」
「そうなの?」
「うん。
元々、副業で来てもらってたパートの人とかいるから。」
「そうなんだ。」
「ほら、ちょっと前だけど、谷村さんとか石井さんとか。」
「覚えてる。」
私が入社した頃の先輩で、結婚して退職したけれど、繁忙期に何度かお手伝いに来てもらっていた。
「仕事が休みの日ならいいよ、って言ってくれて、来てもらってたの。
だから、大丈夫だと思うよ。」
「そっか、良かった。」
「それに、商店街のイベントなら、うちの店にもプラスになることだから、店長に話してごらん?」
「わかった。」
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