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「家に帰るのか?」
「うん。
今日は早めに休もうかな。」
「じゃあ、送る。
タクシーつかまえようか。」
「大丈夫だよ。
すぐそこだから。」
「疲れてるんじゃないのか?」
「疲れてるっていえば、疲れてるけど、楽しい疲れっていうのかな。
遊びすぎちゃった。」
「そうか。」
「お兄ちゃんは、もう結婚はしないの?」
「…積極的に、したいわけじゃないかな。」
「さっきと同じ…。」
「幸せにしたいと思ったのに、叶わなかった。
今度こそと思ったのに、それもできなかった。」
「…。」
「さすがに、消極的にはなるかな。」
「…。」
「申し訳ないというか、情けないというか…。」
「お兄ちゃんにも、幸せになって欲しいって、私は思ってるよ?」
「ありがとう。」
当事者にしかわからないことがある。
お兄ちゃん’だけ’が悪いのだろうか…。
原因は’悪い’ってだけなのだろうか…。
すれ違いだったり、勘違いや思い違いが原因になることもあるんじゃないかな。
もちろん、努力で解決できることもあるかもしれないけれど、ふとした決断が、取り返しのつかない後悔に繋がることもあるのかもしれない。
「一華、もしなにかあったときには、いつでも頼ってくれていいんだからな?」
「どうしたの?急に。」
「一人で追い詰められることが、心配だから。」
「大丈夫だよ。
それに、私もう大人なんだよ?」
「だけど。」
「今は、カズマと翔太と暮らしてるけど、元々は一人暮らしもしてたんだよ?」
「…。」
「そりゃ、贅沢できるほどの余裕はないとしても、ひとりで暮らせるチカラはあるんだから!」
「うん、わかってる。」
「お兄ちゃんは、心配性だなぁ。」
「そうかもな。」
お兄ちゃんは優しすぎて、心配しすぎてしまうんだろうな。
「ツラい思いなんてしたくないし、そばにいる人にも、そんな思いして欲しくないって思う。」
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