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ミユキがパソコンのディスプレイから、チラリとこっちに視線を向けた。
「ちょっと、このバカにちゃんと道具使えって指導しといて。」
「ミユキ、小宮来てるなら教えてよ!」
「…ふたりとも、うるさい。」
ミユキに制止されたら、もう黙るしかないじゃない!
「一華、もういっこの箱はいいの?」
「あ、あれ何だろう。
確認する。」
「届かねぇんだろ?」
「と、届くよ!」
倉庫に戻ると、もうひとつの箱を小宮がおろしてくれた。
必要のないものかもしれないから、その場で床に置いた箱を開く。
「えええ、なんでこんなところに…。」
「うわ、懐かしい。」
今はもうなくなってしまったけど、入社当時から数年前までは、毎年春に歓迎会が催されていて、その時に使った覚えがある飾りや衣装が詰め込まれていた。
写真まで入ってるよ。
「懐かしいっていうか、見たくないっていうか…。」
小宮は爆笑している。
「ここも整理しなきゃダメそうだなぁ。」
あんまりうるさいから、眺めている写真を取り上げて、箱に戻した。
「残業しろよ。」
「だーかーらー、言い方。」
脅迫じゃないんだから。
この調子でお店仕切られたら、反感買うことが目に見えてわかる…恐ろしい…。
「あのさ、おれバカじゃないから。」
そう言って、偉そうに私の頭をポンポンと軽く叩くと、ファイルを持って倉庫を出ていった。
「どっからどう見ても、バカだっつーの。」
邪魔にならなそうなところに、一旦箱を片付けて事務所へ戻る。
小宮の姿が見当たらなくて、ホッとした。
「ほんと、仲良しだねぇ。」
「仲良くないから。」
ミユキが近づいてきて、一緒に箱の中をのぞく。
「毎年、このお雛様可愛いよね。」
箱の中の、白い小さな箱に丁寧にしまってあるお雛様をそっと取り出す。
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