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「なにが?」
思いきりニラまれた。
やっぱり聞かなきゃ良かった。
最近私の周りには、なんだかこう押しの強いというか、存在が濃いというか、そういう人に囲まれている気がしてならない。
「なんでもない。」
「あ、そ。」
そう言ってプイッと顔をそむけると、小さな雑貨やさんに急に入ってしまうから、慌てて追いかける。
早く来いよって言わんばかりの表情で、手招きされる。
やっと隣に追い付くと、
「これ、どぉ?」
さっきとは別人のような笑顔で、ガラス製のお雛様とお内裏様を指差した。
「可愛い…。」
「だろ?」
「いいね!」
「ちょっと確認してくるわ。」
お店の人と話をしに向かった。
着いていった方がいいかもしれないと思いつつ、待ってろってリアクションだったから、着いていってまた眉間にシワを寄せられるのも面倒だな。
もう、いつもあんな風なら、少しはマシなのに。
小さくため息を吐き出して、もう一度お雛様を見つめる。
ミユキが話していた、バラ売りのお雛様はもしかしたら自由なのかもしれない。
ひとりでも、ふたりでも、もしかしたらお雛様同士で手を取り合って、協力して生きていくこともあったっていいのかもしれない。
隣に当たり前のように座っている、こっちのガラスの二人は、ずっとずっと想い合って今ここにいられることが、なによりの幸せと思っているのだろうか。
それとも、これから知り合っていくのだろうか。
…私は、どの道を選ぶんだろう。
「一華、欲しいのか?」
いつの間にか戻ってきた小宮が、隣で一緒にお雛様を眺めていて、驚いた。
「あ、あとで買いにくるからいい。」
小宮がうるさいから、お財布置いてきちゃったし。
「ふーん。」
「お店の人に許可もらえた?」
「ああ。
あのさ、先に文具屋行ってて。」
「はーい。」
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