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「あのさ、なんで隣?」
「え?ダメ?」
「ほらほら、そっちいって。」
「えー。」
向かいに座るように、肩をぐいぐい押す。
「仕事大丈夫?」
「うん。
今日はそんなに混んでないし。」
「そうなんだ。
…いつから手伝うようになったの?」
「さあ?
物心ついた時には、おしぼり運んでたよ。」
「あはは!
なんか想像つく。」
「小学校の時は、同級生が商店街の店の子供が多かったから、放課後なんてみんな手伝いで遊ぶやつ全然いなくてさ。」
「どうして?」
「ほら、夕方って忙しい店が多いけど、うちは夜だから。
遊び終わってからでも、手伝い間に合うし。
でもよく翔太のうちに行って、勝手に手伝ってたけど。」
「ふふふ。
接客が好きなんだね~。」
「ハナちゃんもそうでしょ?」
「わ、私は…。どうかな?」
接客は嫌いじゃないけど、動機は商店街で働きたかったから。
職種はこだわらなかったかも。
「今となっては、商店街の2代目、3代目なんてほぼ知り合い。
っつか、同級生とか。」
「楽しそうでいいね。」
「まあ、楽しいけど。」
カズマはニコニコしながら、焼酎を飲んでいる。
~♪
メールの着信音が鳴る。
ケータイを開くと、彼からのメールが届いていた。
『今日は無理かも。
ごめん。』
ため息がひとつ。
…ふたつ。
『わかったよ。
また今度ね。』
返信を終えて視線をあげると、カズマとバッチリ目が合う。
「な、なに?」
「…カレシ?」
「うん。
今日は無理、って。
‘今日も’なんだけどなぁ。」
「ふーん?
どこが好きなの?」
「はい?」
「ハナちゃん、楽しくなさそ。」
「そりゃあ、最近会ってないし。」
「へー。」
「仕事忙しいみたいだし。
邪魔はしたくないもん。」
「…ホントに仕事?」
「え?」
カズマの言葉に、胸がザワザワする。
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