第1章

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通話を終える。 カズマと翔太が、こっちを見てる。 「しばらく出張だって。」 「…ふーん?」 「翔太は、またそういう顔して。 はー…ちょっと拍子抜けしたかも。」 「ほら、やっぱり無理してたんじゃん?」 「無理はするよ。 他人と過ごすって、大変。」 翔太は探るように言葉を選ぶ。 つい、口を滑らせてしまいそうになる。 「って、私帰るね。」 「えええー! まだ居てよ。」 「洗濯とか片付けしなきゃならないし、布団も干して、たまには自分のベッドでゆっくり昼寝でもしようかな。」 「…どういうこと?」 カズマが不思議そうに聞く。 「ベッド、シングルだから二人で寝るなんて狭いでしょ? いつもケイトくんより後に寝て、先に起きるから、床にクッション並べて寝てたの。」 「ハナさん、ホントに結婚するつもりのカレシなんだよね?」 「なんで?」 「もっとこう、なんか…。 一緒に寝るのが普通なのかなとか。」 翔太が珍しく口ごもる。 「あー…。 そうなのかなぁ。」 生活に必死で、気も回らないし余裕もなくて、疑問にも思っていなかった。 「久々にお布団で寝られたから、しっかり眠れたのかも。」 ヘラッと笑うと、カズマがテーブルをバンッと両手で叩いた。 「ハナちゃん、なんでそこまですんの? 全然、大事にされてないじゃん!! なんで付き合ってんの? 結婚したいの?」 「心配してくれるのは嬉しいけど、それは私とケイトくんのことだから。 カズマに話すことじゃない。」 「ハナちゃん!!」 「だけど、昨日も今日もありがとう。 またお店に来るね。 ごちそうさま。」 「俺も、戻らなきゃ。 ハナさん、そこまで一緒に行く。」 「うん。 服、洗って返すね。」 「…。」 「カズマ、夜にまた来るね。」 うつ向いていたけれど、ゆっくり顔を上げてくれた。 「うん、待ってる。」
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