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通話を終える。
カズマと翔太が、こっちを見てる。
「しばらく出張だって。」
「…ふーん?」
「翔太は、またそういう顔して。
はー…ちょっと拍子抜けしたかも。」
「ほら、やっぱり無理してたんじゃん?」
「無理はするよ。
他人と過ごすって、大変。」
翔太は探るように言葉を選ぶ。
つい、口を滑らせてしまいそうになる。
「って、私帰るね。」
「えええー!
まだ居てよ。」
「洗濯とか片付けしなきゃならないし、布団も干して、たまには自分のベッドでゆっくり昼寝でもしようかな。」
「…どういうこと?」
カズマが不思議そうに聞く。
「ベッド、シングルだから二人で寝るなんて狭いでしょ?
いつもケイトくんより後に寝て、先に起きるから、床にクッション並べて寝てたの。」
「ハナさん、ホントに結婚するつもりのカレシなんだよね?」
「なんで?」
「もっとこう、なんか…。
一緒に寝るのが普通なのかなとか。」
翔太が珍しく口ごもる。
「あー…。
そうなのかなぁ。」
生活に必死で、気も回らないし余裕もなくて、疑問にも思っていなかった。
「久々にお布団で寝られたから、しっかり眠れたのかも。」
ヘラッと笑うと、カズマがテーブルをバンッと両手で叩いた。
「ハナちゃん、なんでそこまですんの?
全然、大事にされてないじゃん!!
なんで付き合ってんの?
結婚したいの?」
「心配してくれるのは嬉しいけど、それは私とケイトくんのことだから。
カズマに話すことじゃない。」
「ハナちゃん!!」
「だけど、昨日も今日もありがとう。
またお店に来るね。
ごちそうさま。」
「俺も、戻らなきゃ。
ハナさん、そこまで一緒に行く。」
「うん。
服、洗って返すね。」
「…。」
「カズマ、夜にまた来るね。」
うつ向いていたけれど、ゆっくり顔を上げてくれた。
「うん、待ってる。」
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