第10章

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「困ったことあったら、すぐ言ってね?」 「ありがと。」 「俺も、協力するよ。」 「心強い。」 不安はある。 垣間見てしまった、マイナスな部分も怖くないわけじゃない。 それでも、やりたいと思ったことに、関われることってなかなかないチャンスなんじゃないかなぁ。 「そうそう、ハナちゃん忘れてるでしょ?」 「ん?」 カズマがソファの陰からごそごそ雑誌を取り出す。 「旅行しようって言ったじゃん?」 「あ、うん…。」 「どこにすんの? あ、俺も行こうか?」 「翔太どこまで邪魔する気だよ。」 「翔太も一緒に…。」 「ダメ!!! 次かその次か、その次の次あたりなら、多少考えなくもないけど、今回は絶対ダメ!」 急に必死になったカズマに少し笑ってしまった。 「あはは。」 「ハナちゃん、なんでのんきに笑ってんの? 初めての旅行は、絶対二人だからね!!」 「あー…、そっか。」 「ハナさんって、そういうところが案外無頓着だよね?」 「翔太、ちょっと失礼じゃない?」 「図星なのに?」 「う…。」 反論できないじゃん! 「おみやげよろしくね。」 「もちろん! って、どこに行く? そんなに遠くにはいけないよね?」 「そうだね。 あんまり移動距離長すぎると、ゆっくりする時間なくなっちゃうね?」 「移動時間も楽しいけどね。」 「あー、それも捨てがたい…。」 「あはは。」 カズマと一緒なら、どこへ行っても楽しいと思う。 例えば、休みの日ずっと家にいたって、楽しい…って言うとまた、無頓着とか言われちゃうのかな? 笑みがこぼれそうになって、慌ててこらえる。 雑誌をパラパラめくる。 有名なテーマパークや、温泉もたくさん載っているけれど、残念ながら遠いんだよなぁ。 1泊で行って遊んで帰れる距離じゃない。
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