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住み心地はすごくよくて気に入っているけれど、遊園地やテーマパークがあるわけじゃない。
なにと言えば、温泉はあるけれど、やっぱりそこまで有名でもないから、雑誌にはあまり載らない。
「そんなに悩むなら、行かなきゃいいじゃん。」
翔太が苦笑いしながら言う。
「いろんな意味で悩んでんだよ。」
「は?」
「行きたいところはたくさんあるけど、近すぎて知り合いとかに会って邪魔されたくないし、遠すぎて疲れさせたら嫌なんだよ。」
カズマが頭をがりがりかいて、ふてくされたように顔をそむけながら言う。
「ハナさんは?」
「私?」」
「ハナさんの希望は?」
「私はどこでも楽しいよ?」
「ハナちゃん…。」
「前みたいに、行き先も決めないで電車乗って…っていうのも、いいなぁって思うよ?」
「おいしいもの食べたいとかは?」
「あはは、おいしいものは毎日食べてるから。」
「!!!」
「カズマや翔太の作ってくれるごはんが一番おいしいよ。」
「ハナさん…。」
「…もー!!!
翔太すげぇ邪魔!!」
「あははは!」
笑いすぎて涙が出そう。
「あ、それじゃあ、ここはどうかな?」
パラパラと雑誌をめくっていた時に、小さく載っていたのを見つけていた。
「??」
カズマと翔太ものぞきこむ。
「前にカズマが連れていってくれた、カフェのもう少し先にあるホテルだよね?
ご飯おいしいらしいよ?」
「やっぱりハナちゃん、おいしいごはん好きじゃん~。」
「ははは。」
「うん、いいよ。
予約しとこっか。」
「うん。」
カズマに、お試しでいいからつきあってと言われた日に行った場所。
そうそう、ケイトくんに会ったのも、この近くのショッピングモールだったっけ。
不思議と、もうなんにも思わない。
乗り越えた…って思ってもいいのかな。
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