514人が本棚に入れています
本棚に追加
/670ページ
手作りじゃないとしても、ディナーするとかホームパーティーの準備するとか、そういうのも体力的にも難しい。
ビールと、サラダや、可愛いピンに刺してあるチーズやハムが運ばれてきた。
「おいしそう。」
「お疲れ~。」
強引に乾杯を要求されて、グラスを合わせた。
「結婚するんだろうな~、したいな~…とは、思ってたよ。」
「だろうね?」
「でも、どんどん自信が無くなるの。」
「自信?」
「そもそも、相手がいなきゃ話にならないことでしょ?」
「あれ?彼氏いるんだろ?」
「…いるけど、年下でまだまだこれからやりたいこともたくさんあるだろうから。」
「結婚したからって、諦めるようなことだったら、始めから大してやりたいことじゃなかったんじゃねぇの?」
「…。」
黙ったら負けたような気がする。
そう気づいても、返す言葉が見つからない。
「年が下っていっても、学生なわけじゃなくて、仕事してんだろ?
それなら、対等っつーか…。
あんまり気にすることでもないんじゃないのか?」
「…だけど。」
コツコツと、靴音が近づいてきたと思ったら、
「小宮はすぐ一華で遊ぶんだから…。」
「ミユキ…。」
仁王立ちをして、少し厳しい表情をしながら、私の隣に座った。
「よくわかったな。
連絡くるかと思った。」
「わかるよ。
私もビール飲もうかな。
料理はもう注文したの?」
「まだ。
ほら、メニュー。」
「ありがと。」
ミユキがメニューを広げる。
「で?
今度はなにで意地悪されてんの?」
「してねぇよ。
一番辞めそうだった一華が、辞めてなくてびっくりっつー話。」
「あのさー、十分意地悪でしょ。」
「違ぇし。」
「ここ、もちろん小宮のおごりなんだよね?」
「ああ。好きなの頼め。」
「よし、一華なに食べる?」
ミユキが来てくれて、雰囲気がガラリと変わった。
最初のコメントを投稿しよう!