第10章

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遠慮なく、お肉を頼んで待つ間、チーズをつまみながらミユキが口を開く。 「辞めるなら辞めるで、時期を早く決めてくれって催促されちゃった。」 「…え?」 グラスを掴もうとした手が、戸惑いでさ迷う。 「小宮、話止めててくれたんでしょ? ありがと。」 「…悪い。力になれなかった。」 「ううん、私も中途半端な状態だったからね。」 「え?どうして?」 「私の都合で考えると、妊娠したら辞めたいなぁって思うけど、そんなのっていつになるかわからないじゃない?」 「そりゃ、そうだけど。」 「会社的には、辞めるなら辞めるで、求人出したりしなきゃないだろうし、会社の都合もあるって。」 「けど、そこで辞めたら会社の都合優先したってことで、ミユキの都合はスルーされてんじゃん? だけど、なんも出来なかった。」 そう言って、小宮が苦い顔をしながら、ゴクリとビールを飲んだ。 「早めに知らせたかったんだけど、悪い。」 「ううん、小宮が悪いわけじゃないよ。 そこで、私の場所に一華を…って思ったんだけど、ごめん。 どうやらそれもうまくいかなそう…。」 「ミユキ…。」 「悪い。 それは一華にもう話した。」 「…そっか。ごめんね。」 「ううん。 …そうだったんだ。 知らなくて、ごめん。」 「そんなことないって。 力になれてないから。」 「若いからって、長く勤めるかどうかなんて、わかんないと思うんだけどなぁ。」 「そうだよね。 一華が辞めると思ってた小宮なんて、特に見る目ないだろうから?」 「うわ、確かに。」 「あはは。」 「少年にはなにか話したの?」 「あー…、」 小宮が小首をかしげて、ミユキが「一華の彼」と小さく言う。 「結婚しよう、養う。 って、言いそうだけど。」 「えええ、言わないよ。」 「言わないけど、思ってるんじゃないの?」
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