第10章

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小宮に勇気づけられたのは、なんだか微妙な気もしなくはないけれど、新しい道が開けたようで、心のモヤモヤが少し晴れたような気がする。 「ただ、彼氏に甘えるっていうのも、一概にダメってわけじゃないと思うけどな。」 「え?」 「頼られたら嬉しい、男心ってやつもあるだろ。」 「…ふふふ。」 「おい、なに笑ってんだよ。」 「小宮が男の人に見えたわ。」 「はぁ!? 今までなんだと思ってたんだよ?」 「…態度の悪い小動物。」 「最悪だな。」 「冗談だってば!」 「当たり前だろ。」 時々本気で凄むから、怯むけど、悪い奴ではないのが扱いに困るところだ。 「ここで大丈夫だよ。 送ってくれて、ありがと。」 「おう。」 「気を付けて帰ってね。 ごちそうさま。」 「明日寝坊すんなよ。」 「小宮もね。」 ヒラリと片手を上げて、来た道を戻っていく。 角を曲がって、家に明かりがついているのが見えて、ホッとする。 玄関を開けて、 「ただいまぁ!」 居間には誰もいなくて、台所をのぞくと翔太がいた。 「ハナさん、おかえり。」 「カズマは?」 「今日は閉店まで手伝うって。」 「そっか。 翔太はご飯食べたの?」 「食べたよ。 ハナさんは?」 「食べてきた。 なんかオシャレなお店だったよ。」 「そうなんだ。」 「おいしかったけど、ちょっと緊張もしたかな。 シャワー入ってくるね。」 「うん。」 部屋へ戻って、タオルや着替えを持ってお風呂場へ向かう。 一応化粧直しなんてしたから、目元が疲れているような気がする。 ザバザバと、頭のてっぺんからシャワーを浴びる。 私はどうしたいんだろう。 わからないことを始めることはもちろんだけど、人に意見をぶつけるっていうのも、なかなかこわいというか、勇気が必要だなぁ。
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