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小宮に勇気づけられたのは、なんだか微妙な気もしなくはないけれど、新しい道が開けたようで、心のモヤモヤが少し晴れたような気がする。
「ただ、彼氏に甘えるっていうのも、一概にダメってわけじゃないと思うけどな。」
「え?」
「頼られたら嬉しい、男心ってやつもあるだろ。」
「…ふふふ。」
「おい、なに笑ってんだよ。」
「小宮が男の人に見えたわ。」
「はぁ!?
今までなんだと思ってたんだよ?」
「…態度の悪い小動物。」
「最悪だな。」
「冗談だってば!」
「当たり前だろ。」
時々本気で凄むから、怯むけど、悪い奴ではないのが扱いに困るところだ。
「ここで大丈夫だよ。
送ってくれて、ありがと。」
「おう。」
「気を付けて帰ってね。
ごちそうさま。」
「明日寝坊すんなよ。」
「小宮もね。」
ヒラリと片手を上げて、来た道を戻っていく。
角を曲がって、家に明かりがついているのが見えて、ホッとする。
玄関を開けて、
「ただいまぁ!」
居間には誰もいなくて、台所をのぞくと翔太がいた。
「ハナさん、おかえり。」
「カズマは?」
「今日は閉店まで手伝うって。」
「そっか。
翔太はご飯食べたの?」
「食べたよ。
ハナさんは?」
「食べてきた。
なんかオシャレなお店だったよ。」
「そうなんだ。」
「おいしかったけど、ちょっと緊張もしたかな。
シャワー入ってくるね。」
「うん。」
部屋へ戻って、タオルや着替えを持ってお風呂場へ向かう。
一応化粧直しなんてしたから、目元が疲れているような気がする。
ザバザバと、頭のてっぺんからシャワーを浴びる。
私はどうしたいんだろう。
わからないことを始めることはもちろんだけど、人に意見をぶつけるっていうのも、なかなかこわいというか、勇気が必要だなぁ。
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