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シャワーを終えて、そのまま脱衣室で髪の毛を乾かす。
お客様と会話をするときも、お話をよく聞いて、答えるってことが、当たり前のようでなかなか難しいこともある。
自分が思ったこととはいっても、見当違いに思われる答えだったら、どうしようと不安になることもある。
友だちや家族との会話と違って、求められていることに答えるって、いつまで経っても慣れないなぁ。
会話って自由のようで、自由じゃないこともある。
髪を乾かし終えて、ドライヤーのコードをまとめて、洗濯物もまとめて脱衣室を出る。
台所の照明は消えていて、居間に翔太の頭が見えた。
「飲んでるの?」
後ろからのぞきこむと、スヤスヤ寝息が聞こえる。
「風邪ひいちゃうよ。」
部屋まで運んであげられないから、毛布を取りに階段をのぼる。
持っていた洗濯物やタオルを部屋に置いて、翔太の部屋の押し入れから、毛布を引っ張り出す。
毛布を抱えて階段を降りていると、玄関が開く音が聞こえた、
「うわ、毛布が浮いてる…。」
「おかえり。」
「翔太寝てんの?」
「うん。」
カズマは毛布をひょいっと奪うと、居間に運んでくれた。
そのまま任せると、乱暴に毛布を掛けて翔太を起こしてしまいそうだから、ぐいぐい引っ張って返してもらってから、そっとそっと掛けた。
「ご飯食べた?」
「うん、ミユキと小宮と食べてきた。」
「そっか。」
「カズマは?」
「食べてきた。
シャワー行ってくる。」
「うん。」
カズマを背中を見送りながら、冷蔵庫を開けてビールを取り出す。
…カズマはどうなのかな。
美容師さんは、お客様とコミュニケーションを取るのは、すごく重要だよな。
居酒屋だって、お話をしたくて来るお客様もたくさんいるだろう。
私の方が、年上だから経験も多い…なんて、少し思い上がっていたかもしれない。
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