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「はぁ…。」
思わずため息がもれる。
「…うわ、寝てた。」
翔太が身体を起こす。
「部屋で寝なよ~。」
「…悩んでる?」
寝ぼけたような顔をしながら、テーブルに頬杖をつきながら、翔太は微笑んでいる。
寝起きもずいぶん可愛いなぁ。
なのに、きっとため息を聞かれてしまった。
「悩むよ~。
人生なんて、悩みの連続だよ。」
「人生語っちゃってるよ。」
「語るほど、人生経験ないけどね。」
「そんなことないと思うけど。」
「もう、わからなすぎて。」
「考えすぎなんじゃない?」
「考えないわけには…。」
考えてるつもりだったのに、実は全然考えられてなかった結果が今の状況なんだから。
「考えなくていいってこともないと思うけど、考えたからその通りになるってわけでもないじゃん?」
「…。」
「ハナさん、最近なんかずっと緊張してるっていうか、無理してるっていうか…。」
「う。」
「カズマはなんか遠慮してるし?」
「遠慮?」
「うん。わかんないけど、そんな感じがしてた。」
「…。」
「そんなに気負わなくても大丈夫だよ?」
「気負ってなんて…。」
ない、とは言い切れなくて、言葉につまる。
期待されたいと願うけれど、期待はズシリズシリと重みを増してくる。
もがけば、もがくほどに、絡み付いてまとわりついて、逃れられなくなる。
だけどそこには、悪意なんてない。
いつの間にか逃げ出そうとしている自分が、情けなくて弱い人間のように思えてくる。
「商店街のこと?
それとも、仕事のこと?」
「…両方?」
レンさんに声をかけてもらえて、嬉しかった。
だけど、私になにができるかなんて、全くわからない。
むしろ、今の状況で私にできることなんて、なにもないような気にすらなる。
仕事だって、危ういことにすら気づいていなかったんだから。
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