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大切だからこそ、言えないこともある。
それを「冷たい」と切り捨ててしまうのは、ちょっと残酷だ。
生活を共にしている家族なら、また状況も違ってくるのかもしれないけれど、お互いに寄りかかり過ぎないのも、友だちとして長くつき合っていける理由になるのかな。
自分の進んできた道が、間違えていないなんて自信はない。
だけど、自信を持たないから、自分のことを信じられないのかもしれない。
信じられないから、進めなくなる。
間違いもひっくるめて、自分だから…といえるほど、まだまだ強くはないのだけど。
「ハナちゃん、今日一緒に寝ようか?」
「は?」
「…バカップルにつき合ってらんないから、俺寝るわ。」
翔太が呆れた顔をしながら伸びをして、かばっと毛布を抱えて立ち上がった。
「おやすみ。」
ふっと笑いながら言われて、
「おやすみ。」
と、答える。
カズマは相変わらず、シッシっと言わんばかりに、手をプルプル振っている。
ビールをごくごく飲む。
「ねぇねぇ、ビールって不思議じゃない?」
「ん~?」
カズマが微笑みながらこっちに視線を向ける。
「楽しいときに飲むと、めちゃくちゃおいしいって思うのに、心が苦しかったり、後ろめたいときとかって、妙に苦く感じない?」
「…確かに。」
「元々、自分に自信たっぷりで生きてきたわけじゃないんた。」
「うん。」
「それでも、それなりに、経験は積んできたとは思ってるけど。」
「うん。」
「それでも、まだまだだなぁって思い知らされてる。」
「…ツラい?」
「うー、ん。」
苦しいし、空しいとも思う。
ツラくないわけじゃないけど…。
「?」
「…悔しい。」
ポロリと口からこぼれるように落ちた言葉に、自分自身でも驚いてしまった。
「え?」
聞いていたカズマよりも早く、自分に疑問を投げ掛けてしまった。
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