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カズマとの旅行は、まさかの延期になってしまった。
と、いうのも、ミユキの退職の話はどんどん進んでいた矢先に、ミユキが倒れてしまった。
理由は、というと。
実は妊娠していたらしい。
本人も気づいたのが遅くて、体調も経過も安心できる状態じゃなくて、退職が早まってしまった。
妊娠は病気じゃないとか、動いた方がいいとか、臨月まで働くとか、できるならば無理のない範囲でするのは悪いことじゃないと思う。
だけど、万人に強要するのは、とても危険なことだと思う。
事務職を引き継ぐ人もまだ決まらず、店長と小宮で作業をしているものの、もちろんカバーしきれないので、手伝えることは私も手伝っている。
更に、新入社員の研修も始まってしまって、本音を言えるならば、てんてこまい状態だ。
会社の将来性を考えるのは、もちろん大切なことだと思うけれど、実際にはお店が営業できている前提があっての、将来だと思う。
効率だって、もちろん大切だけど、今事務所がバタついていて、お店自体にも影響が出ているのは、現実問題だから。
私は年齢も状態も考慮した結果、事務員には不可というレッテルを貼られているんだろう。
なのに、都合が悪くなると手伝えと言われるのは、気分がいいものではない。
だけどそれ以上に、できることをやらない自分の方が、もっとずっと嫌だなって思ってしまった。
これで評価が覆るなら、嬉しい限りだけど、そうならなくったって、なにもしなかったら私はずっと後悔してしまうから。
…そんなのは、嫌だ。
「一華、そこそこのところで切り上げろよ?」
お店が閉店したあとに、事務作業をしていると、向かいの机でパソコンを開いている小宮が言う。
「うん。
あと、研修マニュアルだけプリントしちゃいたいの。」
「は!?」
「プリンター使ってる?」
「いや、そうじゃねぇって!」
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