第11章

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店長は工場での会議に参加する為に、今日は不在だ。 と、いうかほぼ毎日事務所で小宮と残業をするのが日課になっている。 「うるさいなぁ?」 久々の再会からしばらくは、小宮に言われっぱなしだったけれど、それは私がグラグラしていたから、揺らいでいただけ。 「なんで、新人研修のことまでやってんだよ?」 「あのさぁ、何年何回新人研修担当してきたと思ってるのよ? 後輩たちは、現場のこと教えて、接客に慣れるようにサポートしつつ、通常の作業と接客もしてるんだから。 大変でしょ?」 「だから、お前はそれプラス事務作業してんだろ、って。」 「そうだよ? だから、せめてサポートできることはしてるんじゃない。」 「そうじゃなくて…。」 思いきり眉間にシワを寄せて、盛大にため息を吐き出された。 「仕事抱えすぎ…。」 らしくない、優しい声で、気持ち悪いなぁ。 「残業代、交渉しとくから。」 「…ありがと。 でもさ、大丈夫だよ?」 「なんで。」 「ミユキのこともだけど、私のことも、色々掛け合ってくれてるでしょ? だけど、小宮の立場ってのもあるんだから。」 「…で?」 「で、って…。 誤解されたり、不利になったりしたら、困るじゃない。」 「困んない。」 「なんでそう言い切れるの?」 ため息をつきたいのは、私かもしれない。 「会社側がおかしいと思うから、交渉してるだけ。 それが、一華とかミユキがおかしいと思ったら、全力で話し合うけどな。」 「…そう。」 妙に納得してしまった。 「心配しすぎ。」 「そりゃ、するでしょ。」 「どうも。」 「いいえ。」 全く心のこもっていないやりとりをして、思わずお互い吹き出してしまった。 「あはははは!」 「なぁ、それ終わらせたら、飯行かねぇ?」 「うん、いいよ。」 「じゃ、さっさとやれよ。」 「はいはい。」
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