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「ヘラヘラここでグチってるヒマがあるなら、見返すくらいの仕事しろ!
あんたたちだけが、ツラいわけじゃないから!
って、ものすごい剣幕で。」
「…そんなことも、あったね…。」
思い出すのも恥ずかしい。
今はいろいろ受け入れられるようになってきたけれど、その頃は少し滅入ることが多かった。
できる仕事は増えてきたものの、対応しきれないこともあるけれど、後輩の指導もしなきゃならなくて、精一杯になっていた。
そんな時に限って、とは言えないけれど、中年のお客様に、からかいのような意地悪を受けた。
忘れたつもりになっていたけれど、今でもしっかり覚えている。
そのお客様は、一見とても紳士的で穏やかそうな笑みを浮かべていた。
「お姉さんのオススメで、ケーキ選んでよ?」
そう声をかけられて、一番人気の商品や、季節限定の商品、あとは定番で人気のある商品を案内した。
「ふーん、なんか普通だね。
もっと良さそうなの、ないの?」
と、おっしゃるから、他の商品の説明を始めると、
「あー、でもおれ分かんないから、お姉さんが選んでよ?」
そう言われて、選んだものをお見せすると、
「ふーん、こういうの選ぶんだ?
まあいいけど。
人に渡すから、包んでよ?
おれ分かんないから、いいようにして?」
箱に詰めて、渡そうとすると、
「これでいいって思ってんの?」
鼻で笑うようにそう言われて、不安で胸が苦しくなった。
「お姉さんはこれでいいって思ってるんだよね?
ふーん、それならいいけど。」
別のものに取り替えますか、と伺っても、
「おれ分かんないから、いいようにしてって。」
と、くり返すばかりで、どうしていいのかわからなくなったけれど、泣くのだけは嫌だと、必死で涙を堪えた。
「どうなさいました?
ご注文お伺い致します。」
店長が、接客を代わってくれた。
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