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「…うーん。」
「無理めな仕事は、とりあえず一華に言えばいいんじゃね?って言ってる奴もいたんだよね。」
「…へー。」
そう言われると、心当たりがないわけじゃないのが悲しい。
「文句は言われないし、なんとかしてくれるし?」
「…便利に使われてたんだね。」
「だけど、あの時に気づいたっつーか。
言わないからって、なにも思ってないわけじゃないんだ、って。」
「…矛盾してんじゃん。」
「え?」
「 思うことは伝えないと、思ってないのと同じになるみたいで、嫌だから。
って言ってた。」
「だから、そう思うんだろ?」
「はい?」
「言わないから、なにも思ってないと思う。
だから、伝えないと、わかってもらえないんだって。」
「…。」
「あと、あの時は無茶苦茶迫力あったから、実はそういう過去があるんじゃないかって、詮索してる奴もいたよ。」
「ひど。」
「良かったと思うけどね?」
「…。」
「おれはあの頃、なんでも却下されるし、自分なりにやってるのに、認めてもらえなくて、そうやってなんとなく過ごして、グチって、そういうもんなのかなって、思ってた。」
「え。」
「だけど、なんか目が覚めたっつーか。」
「?」
「認めてもらえないのが、今の自分の実力なんだ、って気づいたら悔しくてさ。」
「…。」
「その後に、一華の店先での話聞いて…。
ぶっちゃけ、販売員なんて、ヘラヘラして遊び半分に商品売って、ふざけてんのに給料もらって楽だよなって思ってた。」
「えー…。」
「だけど、違ったって知ったら、情けないとか申し訳ないとか、いろんな気持ちになったよ。」
「…。」
「だから、売り場の人の意見や思いも、できるだけ届けたいって思ってんの。
で、ニコニコしてんのに、ヘラヘラしてる!なんて、また一華に胸ぐら掴まれたら怖いから?」
そう言って、ニヤリと笑ってビールを飲んでいる。
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