第11章

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「すげぇ仲いいのはわかってたから、知ってんだろうとか思ってた。 けど、時々一華変だから、知らないのかとも思ってたけど。」 「全く知らないんだけど。」 「あいつ、ホントそういう気は回すよな。」 苦笑いしているのに、嬉しそうで、胸がギュッと苦しくなる。 「…いつ?」 「うわ、そこは詮索するんだ?」 「言わないなら、初めから黙ってればいいじゃん。」 開き直って、聞いてしまおう。 「1回目は入社して2年目の頃。 ほら、彼氏が忙しくてとか言ってた時期あっただろ?」 「うん。 彼が急に部署移動になって、会う時間とか全然なかったって…。」 「ミユキも事務職に移動して、いろいろ相談とか乗ってたんだ。 その時に…。」 「え、おれなら大事にするよ?的な?」 「…ああ。」 素直に話してくれる小宮が、少し気持ち悪くて茶化してみたら、やっぱり素直でこわい。 「ミユキはなんて?」 「気持ちはうれしいけど、彼のこと大事だから待つってさ。」 「…そっか。」 小宮は、ふーっとため息を吐き出して、 「どうせ聞くんだろ? 2回目はミユキが彼氏と一緒に住むとかって頃。」 「えええ、そのタイミングで?」 「ああ。 住所変更とか手続きってどうするのか聞かれて、ダメ押ししてみたけど、ダメだった。」 どこまでチャレンジャーなんだろう。 普通に、なんて言い方がふさわしいかどうかはわからないけれど、同棲を始める前のカップルは、幸せ以外の何者でもないと思う。 会えない日々か重なって、もっとそばにいたい気持ちが募って、やっと一緒に住めることになるんだから、玉砕覚悟だったのだろうか。 「そこで、キッパリあきらめるつもりだったんだよ。 さすがに、おれもばかじゃねぇし。」 「…ばかだよ。」 「ダメだってことくらいは、わかってたよ。」 「…。」
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