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本人目の前に、なんて失礼なことを言うんだ…って、小宮だから仕方ない。
「そんなことないですよ?」
「あー…あれですか?」
「?」
「アンティークとかって、手入れに手がかかる分、愛着がわくって言うし…。」
「私古くないから!!」
「いや、ベテランだからね。
会社ではだいぶ古い扱いされてるからね。」
「…そこは否定できないけど…。」
私たちがふと黙ったところで、
「めちゃくちゃ振り回してくれるんで、もう虜なんですよね。」
にこにこしながら、カズマが言う。
「!??」
ボッと顔が熱くなる。
小宮はもちろんだけど、大将も翔太も、店にいるお客さんも、みんなが笑う。
「あはははは!
一華すげぇじゃん。」
「な、なに言ってんの!?」
テレても困っても、みんな楽しそうに笑っているから…。
もう、私も一緒に笑ってしまおう。
悲しいことや、やりきれないことがあったって、その何倍も笑っていたら、いつか心は救われるかもしれない。
「ヤバい、おれしばらくここに通うかも。」
「いいけど、時間ズラしてよね。」
「一華がズラせよ。」
「嫌だよ。
後輩たちに妙な誤解されたら嫌なんだってば。」
「あのさー、それって一華にも責任あるんじゃね?」
「はい??」
小宮は日本酒をぐいっと飲み干すと、少し甘めでスッキリしてる日本酒はないですか?なんて大将に話しかけている。
どうやら、飲みたいお酒が決まったらしく、翔太が一升瓶を持ってきてグラスに注ぐと、小宮はゆっくり日本酒を飲んでいる。
「あのさぁ、なんで私に責任があると思うの?」
「一華はなんで自分に責任がないと思えるんだよ。」
「質問に質問を返さないでよ。」
「うわ、へ理屈…。」
「答える気がないなら、言わないでよ。」
「…甘いよなぁ。」
「はい!?」
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