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みんなが、驚いた表情でこっちを向く。
けれど、すぐに翔太が、
「ハナさんに言われたら、小宮さんも幸せになるしかないですね!」
って言うから、みんなが笑う。
「当たり前だろ。」
少しだけ、泣きそうな顔をするから。
ムカついても、嫌いにはなれないんだよ。
カズマと翔太はまだ仕事が残っていたから、小宮と一緒に店を出た。
「仕方ないからおくってやるよ。」
「近いから大丈夫だよ。」
「おれもそう思うけど、彼氏に頼まれたから責任は果たしとく。」
「…ありがとう。」
明日の作業のことや、次のイベントの話をしながら歩いているうちに、家に着いた。
「送ってくれてありがとう。
気をつけて帰ってね。」
「おう。じゃあな。」
「うん。」
小宮の後ろ姿がみえなくなるまで見送る、なんて気持ち悪くてしたくないから、そこそこ見送ってから家に入った。
別に緊張していたわけじゃないけれど、いろんな話して疲れたな。
居間の電気をつけて、ソファに背を預けると急に睡魔に襲われた。
まぶたが重くて、開けていられない…。
ゆっくりと、深く眠りにおちた。
ぼんやりと目を覚ましたときには、毛布がかけられていて、居間の電気は消えていたけれど、台所の電気がついていた。
「…翔太?」
そう呼びかけてから、目を凝らして時計をみると、まだ翔太がご飯を作る時間より少し早い。
「ううん、オレ。」
そう言って、カズマがひょこっと顔をのぞかせた。
「起きてたんだ?」
「うん。ハナちゃんは、帰ってそのまま寝ちゃったの?」
「うん、そうみたい。
毛布ありがとう。」
「あ、それは翔太だけど。」
「そっか。」
ふーっと息を吐き出す。
毛布から出ると、少し寒い。
「明日…ってか、今日も仕事でしょ?」
「うん。
あー、化粧だけでも落としてこようかな。」
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