第11章

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「ハナちゃん…。」 「だから、言えないの!」 カズマがぎゅっと腕に力を込める。 「???」 「オレは欲しいなぁ。」 「え?」 「ハナちゃんのこと、独り占めしたいよ。」 「…ありがと。」 急に恥ずかしくなってきた。 だけど、心がふわふわしてるみたい。 「ハナちゃん、めっちゃかわいい。」 「やめてよ、恥ずかしい。」 「恥ずかしがってるところも、かわいいい。」 「え、なんの意地悪??」 「意地悪もいいかも。」 カズマが顔をあげて、ニヤリと笑う。 「なになに?」 ちょっとこわいんだけど? なんて思っていたら、カズマは急に立ち上がる。 そしてふわりと抱きかかえられてしまった。 「やだやだ、降ろして?」 「降ろさないよ。」 「重いから!」 「全然。」 「顔とかベタベタだから…。」 「メイク落としてあげよっか?」 「やだってば!」 そんな恥ずかしいこと、できるはずない。 「じゃあ、シャワー浴びておいで?」 少しおどろくくらいアッサリ、そっと降ろしてくれた。 これでいいんだけど、私どうしておどろいているんだろう。 やだ、そのこと自体がもう恥ずかしいかもしれない! 「シャワーしてくる!」 逃げるようにお風呂場へ向かった。 カズマともっと触れていたいと思った。 どうしよう、恥ずかしい。 熱めのシャワーを浴びようと思ったら、やっぱり熱くて温度を下げる。 頬も身体も火照っている気がして、水浴びでもしてしまいたくなる。 シャワーを終えて、タオルは置いてあるのを使ったけれど。 当たり前に服はない。 さっきまで着ていた服を、とりあえず着るしかないか。 タオルを巻いたまま部屋まで向かう勇気はない。 脱衣室を出ると、台所にはもうカズマの姿はない。 先に寝たのかな? そう思いつつ、部屋へ向かう。 静かに階段をあがる。
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