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「一華先輩、大好きですよ。」
「あ、私も!」
「私もです!」
「…ありがとう。」
こんなにうれしいことって、あるだろうか。
自分だけが悩んで、がんばっているつもりでいた。
でも、ちゃんと受け止めていてくれたんだ。
ひとりでがんばっているわけじゃない。
「…店の前で、朝っぱらからなに騒いでんだよ。」
眉間にシワを寄せた小宮が立っている。
「小宮さんも、一華先輩のことホメてましたよね?」
まみちゃんが、いたずらっ子のようにニカっと笑って言う。
「それ、秘密っつったろ?」
小宮は邪悪にニヤリと笑って、早く働け~なんて言いながら店に入っていった。
「こ、小宮さんって、なんであんなにかっこいいんですか…。」
ポツリと、こぼれたひとことに耳を疑ってしまう。
「…まみちゃん?」
「へ?…あ!!!
今のナシでお願いします!」
慌てたまみちゃんに、ぎゅうっと両手をつかまれてしまった。
「!???」
だけど、驚いているのは私だけで、みんな知っていたように笑っている。
「違いますから!
恋愛とかじゃなくて、人として…。」
「ふふふ、わかったわかった。
そろそろ着替えよっか?」
「い、一華先輩!!」
焦るまみちゃんの背中をさすりながら、更衣室へ向かう。
平常心を保っているつもりだけど、めちゃくちゃ動揺しているのは、まみちゃんに負けないかもしれない。
みんながなんとなく、小宮にそわそわしていると思っていたけれど、そういうことだったのか。
それに、まさかのまみちゃんが…。
小宮は、まみちゃんの好みには程遠い…なんて、勝手に決めつけちゃいけないなぁ。
ただ、かっこいいってところには、同意しかねるけど。
「一華先輩…。」
なぜか涙目で見つめられる。
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