第11章

33/50

514人が本棚に入れています
本棚に追加
/670ページ
「本当に信じて! 確かに私と小宮は同期で、親しく見えるかもしれないけど、恋愛とかそういうのじゃないの。」 「…でも。」 「たぶん今、小宮は好きな子はいないと思うよ?」 「そうなんですか?」 「うん。 それより仕事って感じだし。」 「それはなんとなくわかる気がします。」 「応援、なんてうまくできないけど。 まみちゃんの気持ちは応援してるよ!」 「…ありがとうございます。」 「さぁて、着替えよっか。」 「はい。」 これ以上、小宮に怒られたくない。 人の気持ちってわからないものだなぁ。 着替えて事務所で作業をしていると、 「…一華、気持ち悪いんだけど。」 小宮が怪訝な顔でこっちを見てる。 「あのさぁ、もうちょっと言い方ってあるよね?」 反論しているものの、ニヤけが止まらないことには心当たりがある。 「言い方考える以前に、気持ち悪い一華が悪いだろ。」 「ほんと、無神経…。」 「あ?」 「なんでもありません。」 頬を両手でパシッと叩いて、気を引きしめる。 「そういえば、商店街のイベントって近々なんかあったりすんの?」 「…それが、仕事が忙しくなったので、なにも参加できてないんです。」 「お、さりげなくクレームか?」 「そうじゃなくて!」 「冗談だって。」 だから、冗談がわかりにくすぎる。 「次の休みには、話に行くんだけど。」 「明日休めば?」 「へ?」 「明日休めよ。 たぶん店長も常駐できるから、人数足りる。」 「それじゃあ、お言葉に甘えて。」 「おう。」 適当ではないけれど、そこまで把握してることもすごいとは思う。 昼休みには、一応お兄ちゃんに連絡をいれて、明日の都合を聞いておこう。 ここ最近は、事務作業で一日が終わってしまう。
/670ページ

最初のコメントを投稿しよう!

514人が本棚に入れています
本棚に追加