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「すごい?」
「慣れてる感じとか、仲良しなのが。
初めてみたいで、美容師さんにも気を使わせちゃっててごめんなさい~って思うこともあったなぁ。」
「えええ、こちらこそ気を使わせてごめんなさいだよね。」
「ううん、みんながそうは思わないと思うんだけど。」
「そっかぁ。」
「美容室って、日常とは少し違う空間じゃないかなぁ。」
「非日常?」
「うん。
だって、知り合いとだって、理由がなくて触れ合うことってないじゃない?」
「こんな風に手をつないだり?」
カズマが手を少し持ち上げる。
「うん。
カズマは翔太と手をつながないでしょ?」
「また、気持ち悪いことを。」
「あはは。
けど、翔太が美容室に来たら、触れるよね?」
「そりゃあ、髪切るから。」
「そこが、非日常?」
「…え、っと。」
「知り合い同士でも、あまり触れ合わないけど、美容師さんとは初対面でも触れるから。
仕事だし、そういう場所ってことはわかってるけど、不思議だなぁって。」
「さすが、ハナちゃん。」
「変でしょ?」
「いや、納得。」
「そう?」
「そこに疑問を持つ場合もあるって、勉強になった。」
「私が変なだけだから、参考にならないと思うよ?」
「ううん、似たようなことを言われたことがあるな、って。」
「そうなの?」
「まぁ、もっとやんわりぼんやりした話だけど。
今ハナちゃんの話を聞いてたら、そういうことが言いたかったのかもって。」
「そっか。
美容師さんがいやとかじゃないんだけど、人に触れることに抵抗がある場合もあるかなぁって。」
「おつりは直接受け取らないとか?」
「うん、あるある。」
一度トレイに乗せないと、かたくなに受け取らないお客様もいる。
そこはお客様の心地よいようにしてもらって構わないと思っている。
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