第11章

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カズマと、大将の店に到着した。 「ただいまー。」 カズマと一緒に、そう言って入ってみる。 「お、ハナちゃんおかえり!」 「ただいま。」 大将に、おかえりって言われるのが、なんだかテレくさい。 「ハナさん、おかえり。」 ニコニコしながら、翔太がおしぼりを持ってきてくれた。 今日はカウンターじゃなくて、小上がりに向かう。 カズマは、支度をしに奥へ行ってしまった。 「ただいま。 翔太、最近休んでる?」 ここで会うけれど、家ではほとんど顔を合わせていない気がする。 「休んでるよ。」 「ちょっと、疲れてるんじゃない?」 「疲れてなくは、ないかも?」 ネガティブなことを言っているのに、笑顔だから困る。 「無理してると、無理やり寝せるよ!」 「あはは、コワいなぁ。」 「そうだよ。 今日代わるから、ちょっと休め。」 エプロン姿のカズマが戻ってきて、翔太の頭のフキンを外した。 「え、追い出されんの?」 「一緒にご飯食べようよ!」 翔太の腕をぐいぐい引く。 「でも…。」 チラリと、大将に視線を向けるから、 「大将、今日翔太を私専用にさせてもらえませんか?」 カウンターに声をかけると、 「もちろん! ハナちゃんに使われるなら、翔太も納得するだろう?」 少しだけ、困った顔で笑った。 「ありがとうございます!」 大将が、倒れるまで翔太を働かせるわけがない。 どうして、そんなに根詰めてしまっているんだろう。 「カズマ、ビールちょうだい! 翔太はなににする?」 「あ…、ビールにしようかな。」 「了解!」 カズマが、厨房に向かう。 油断していると、翔太が働いてしまいそうだから、奥に座ってもらった。 「ハナさん、カズマとデートだったんじゃないの?」 「うん、今もしてるよ?」 「あはは、そっか。」
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