第11章

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「お兄ちゃんこそ、休んでる?」 「ああ。」 ビールを運んできたカズマに、あれこれ注文しているけれど、絶対に量がおかしい。 「私、そんなに食べられないからね!?」 「大丈夫だろう。 食べないと、倒れる。」 「倒れてないから!」 「やっぱり、痩せたんじゃないのか?」 「そういうの、セクハラだよ?」 「兄妹なのに、セクハラもなにもないだろう!」 「もー、お兄ちゃんうるさいー。 ゆっくり飲ませてよ。」 「一華が無茶するからだろう。」 「はいはい。」 飲み干してしまったビールのグラスを持って、立ち上がる。 「お、ハナちゃん。 お代わり?」 歩いてきたカズマに、両肩を支えられた。 通路が狭いから、なのに。 ドキリとして、恥ずかしくなる。 「うん、お代わりお願いしにきた。 あと、お兄ちゃんがうるさくて。」 「あはは。 ものすごく注文してくれてたけど、食べきれる?」 「どうかなぁ。 お兄ちゃんも、そんなにたくさん食べられないのに。」 ドギマギする心臓を押さえたくなる。 「じゃあ、量控えめにしておくね。 足りなそうだったら教えて?」 「ありがとう。」 「で、グラスもらうよ。」 「う、うん。」 今度は、両手を包み込まれて、頬が熱くなる。 カズマがそっと、私の耳元に顔を寄せる。 「テレてるハナちゃん、めっちゃ可愛い…。」 「!??」 もしかして、からかわれた!? 抗議しようとした時には、ハハハと笑いながら厨房へ入る後姿で。 …悔しい!! けど、テレたのは事実。 いつだって、カズマに振り回されてる。 だけど、それが嫌じゃないのが、また悔しい。 小上がりに戻ると、 「一華!? 顔が赤いけど、酔ったのか? もしかして、熱でも…!!!」 お兄ちゃんが伸ばしてきた手を、パシッと振り払う。 「つ、冷たい…。」
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