第11章

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すっかりお腹がいっぱいになって、そろそろ帰ろうかという頃に、翔太が 「片づけは俺やるから、カズマと帰りなよ?」 「でも…。」 ほら、いいから、と。 ほぼ無理矢理、カズマと外に出されてしまった。 だけど、翔太は楽しそうに笑っていたから、きっと大丈夫。 「…疲れた?」 「ううん、平気だよ?」 「じゃあ、少しだけ散歩して帰らない?」 「いいよ。」 差し出されたカズマの手に、自分の手を重ねる。 「翔太、なんか言ってた?」 「うん。 でもきっと大丈夫だよ。」 「そっか。 それなら良かった。」 「…心配してたんだ?」 カズマの顔をのぞきこむ。 「うん、まぁ…。」 「カズマも翔太も、優しいからなぁ。」 「そうかなぁ。」 「うん、優しい。」 「ハナちゃんも優しいよ?」 「だといいけど。」 「レンさんの手伝い、大丈夫そう?」 「うーん、わかんない。 ちょっとは不安だけど、楽しそうって思うよ。」 「前向き~。」 「…確かに、そうかもしれない。」 「うん?」 キュッと重なる手が、温かくてうれしい。 「変わらないことが、一番大事だと思ってた。」 「うん。」 「特別なことが起こらなくても、今を維持できることが一番いいって。」 「悪くないよ?」 「あはは、そうなんだけど。 それだけよりも、変わるものもあるから、面白いのかなって。」 「変わるもの…。」 「変わらずにいるって、きっと無理なことだよね? だから、変化も楽しめたらいいなぁ。」 「…そうだね。」 カズマがこっちを向いて、笑う。 「私も少し、心にゆとりができたのかな?」 「へ?」 「ふふふ、なんでもないッ!」 カズマの手をぎゅーっと掴む。 不意に、ぐいっと引き寄せられて、カズマの腕の中に包まれてしまった。 「み、道端だよ?」 「え? 道じゃなかったらいいの?」 「そ、そうじゃなくて…。」
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