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「ハナちゃん、かわいい。」
首すじに、顔をうずめられて、くすぐったい。
「ねぇ、くすぐったいよ。」
「えー？」
聞こえてるはずなのに。
「ちょっと、恥ずかしい…。」
「誰も見てないって。」
「そういうことじゃなくて…。」
「もう少し。」
「…カズマ、酔ってる？」
「酔ってないよ。
ちょっと充電。」
「えええ、私発電できないよ。」
「あはは、心の充電だから、大丈夫。」
「…ねぇ、カズマ。」
「ん？」
「…なにかあった？」
そう問いかけると、少しの間のあとに、
「ないよ！！」
パッと身体を離して、カズマがにっこり笑っていた。
…少しの違和感。
だけど、なにかはわからない。
私には話せないことなのかもしれない。
そもそも、私が相談に乗れることなんてほぼないのかもしれない。
話を聞くことはできるけれど、聞くだけ…。
ちょっぴり、無力さを感じてしまう。
「ハナちゃん？」
心配そうに、のぞきこむから、
「ん？」
「帰ろうか。」
「うん。」
幸せな気持ちの陰に、少しの不安が残る。
「カズマ？」
「なあに？」
「…ううん、明日は忙しいの？」
「まあ、それなりに。」
「そっか。」
「あ、一緒にご飯食べよう？」
「うん。
どこか行く？」
「ハナちゃんの好きなとこ。」
「えええ、大将のところになっちゃうよ？」
「それでもいいけど…。
やっぱり、別のとこ！」
「あはは、考えておくね。」
「うん。」
悩みがないはずはない。
誰だって、小さかったり大きかったりしたとしても、なにか考えていることはある。
それをすぐ言葉にしたいときもあれば、じっくりじっくりひとりで考えたいこともある。
そんなときは、きっと待つしかないんだろうな。
ううん、私だってきっとそうして欲しいと思うだろうな。
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