第11章

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「ねぇ、ハナちゃん。 今日一緒に寝ようよ。」 「…いいよ?」 「やったぁ! …ついでに、お風呂とか…。」 「なっ!なに言ってんの!?」 急にそういうことを言い出すから、驚く。 「なーんて。」 手をつないで、家まで歩く。 …そういうこと、ってカズマはどう思っているんだろう。 気にならないわけじゃない。 とはいえ、自分からどうこうできるわけでもないのに。 「今日も、彰人さん元気だったね。」 「ごめんね、いつもうるさくて。」 「いや、ハナちゃんのことすきなんだろうなぁって思うよ。」 「ありがたいけど、大げさなんだもん。」 「いいんじゃない? あんなに素直に大事にしてくれるって、なかなかないよ。」 「…そうかなぁ。」 私にとっては、カズマも翔太も表現がストレートで恥ずかしいくらいだけど。 家に着いて、先にシャワーを浴びるようにってお風呂場へ押し込まれた。 疲れているのはカズマだって同じなのに、そういうところも優しいんだから。 シャワーを終えて、タオルで髪を拭きながら居間へ向かうと、ソファに翔太が座っていた。 「おかえり。」 「ただいま。」 「翔太先にシャワー使えよ。」 カズマがドライヤー片手に言う。 「じゃ、お先。」 翔太が立ち上がるとすぐに、私をソファーに座らせてタオルも奪われた。 「カズマも疲れてるんだから…。」 自分でやると言うけれど、 「オレ今日休みだったから。 それに、ハナちゃんの髪に触ってると癒される。」 「マイナスイオンとか、出てないよ?」 「あはは、出てるって。」 「それ、私からじゃなくて、ドライヤーから出てるんじゃない?」 「あはははは! それはそれで、おもしろい!」 なにやら大笑いしているけれど、おもしろいつもりで言ったんじゃないのに!
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