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ドライヤーの温かい風と、カズマの細い指が心地よくて、ついウトウトしてしまう。
「寝ちゃっていいよ?」
優しくそうささやく声も、子守歌のように耳に響く。
「寝ないよ。」
とは言うものの、寝ない自信がない。
「よし、おしまい!」
カズマがドライヤーを片づけているころには、翔太はとっくにシャワーを終えて部屋で寝ている。
「布団敷いておく?」
「敷いてから、シャワー浴びようかな。」
「いいよ、敷いておくから、シャワー行っておいで。」
「ありがとう。
重かったら、無理しなくていいからね?」
「あはは、私力持ちだから大丈夫だよ!」
「そう?」
階段を上がって、自分の部屋からカズマの部屋に布団を運ぶ。
布団を並べて敷き終えて、少しゴロリと横になったつもりだったのに。
ふわふわの布団のせいで、眠りの世界に引きずり込まれてしまった。
夜中に一度、目を覚ましたときには、隣にカズマがいたはずなのに。
朝になって目を覚ますと、当たり前だけどカズマはいない。
布団は片づけてあるけれど、カーテンは閉めたままにしてくれたんだ。
うううーんと、伸びをして起き上がる。
お休み自体が久しぶりかもしれない。
とはいえ、一度起きてしまうと、たまっていた洗濯をしながら、ついカズマや翔太に普段甘えてしまっている掃除を、今日こそはと張り切ってみる。
お腹が減って、気が付けばもう3時を過ぎている。
せっかくだから、駅前にでも行ってみようかな。
支度を済ませて、家を出る。
スッキリ晴れた青空が心地いい。
夏物の服とか、サンダルが欲しくなるなぁ。
サンダルや、服を見て回りながら、雑貨屋さんにも寄ってみる。
ただ眺めているだけでも、十分かわいいのだけれど、お店のディスプレイに使えないかと考えている自分に、少し笑えた。
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