第11章

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ドライヤーの温かい風と、カズマの細い指が心地よくて、ついウトウトしてしまう。 「寝ちゃっていいよ?」 優しくそうささやく声も、子守歌のように耳に響く。 「寝ないよ。」 とは言うものの、寝ない自信がない。 「よし、おしまい!」 カズマがドライヤーを片づけているころには、翔太はとっくにシャワーを終えて部屋で寝ている。 「布団敷いておく?」 「敷いてから、シャワー浴びようかな。」 「いいよ、敷いておくから、シャワー行っておいで。」 「ありがとう。 重かったら、無理しなくていいからね?」 「あはは、私力持ちだから大丈夫だよ!」 「そう?」 階段を上がって、自分の部屋からカズマの部屋に布団を運ぶ。 布団を並べて敷き終えて、少しゴロリと横になったつもりだったのに。 ふわふわの布団のせいで、眠りの世界に引きずり込まれてしまった。 夜中に一度、目を覚ましたときには、隣にカズマがいたはずなのに。 朝になって目を覚ますと、当たり前だけどカズマはいない。 布団は片づけてあるけれど、カーテンは閉めたままにしてくれたんだ。 うううーんと、伸びをして起き上がる。 お休み自体が久しぶりかもしれない。 とはいえ、一度起きてしまうと、たまっていた洗濯をしながら、ついカズマや翔太に普段甘えてしまっている掃除を、今日こそはと張り切ってみる。 お腹が減って、気が付けばもう3時を過ぎている。 せっかくだから、駅前にでも行ってみようかな。 支度を済ませて、家を出る。 スッキリ晴れた青空が心地いい。 夏物の服とか、サンダルが欲しくなるなぁ。 サンダルや、服を見て回りながら、雑貨屋さんにも寄ってみる。 ただ眺めているだけでも、十分かわいいのだけれど、お店のディスプレイに使えないかと考えている自分に、少し笑えた。
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