第11章

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せっかくお休みだっていうのに、仕事のこと考えちゃってるって、残念なようだけど少し楽しいのも本当の気持ちかもしれない。 カズマも、そう思っているのかなぁ。 好きじゃなきゃ、続けられないよ。 「あれ?ハナさん?」 「翔太!配達?」 「うん。 ハナさんは、買い物?」 駅前の少し横に入った小道で、翔太に会った。 「うん。プラプラしてた。」 「お茶でもしない?」 「翔太、仕事は?」 「夕方まで、余裕あるから。」 「じゃ、せっかくだから。」 とはいえ、移動する時間がもったいなくて、近くにあったカフェに入った。 「ハナさんなににする?」 メニューを差し出されて、つい、 「お腹減ったから、サンドイッチ食べちゃおうかな。」 「どうぞ。 俺、アイスコーヒーにしよっかな。」 サンドイッチと、アイスカフェオレを注文して、ゆったりとしたイスに深く座る。 お店はそれほど広くないけれど、小ぶりなテーブルに、ゆったりしたイスがなんだか落ち着く。 「夏祭りのアイディア、浮かんだ?」 「…全然。」 「毎年、結構モメるんだよね。」 「そうなの?」 洗濯の合間に、昨日お兄ちゃんから受け取った資料を何度も読んだけれど、具体的な案がなかなか浮かばない。 「陽も長くて稼ぎ時だから、できるだけ負担が少ないほうがいいけど、お客さんは多く集めたいっていうので、どうするか決まらないんだよ。」 「そっかぁ。」 「普段から、そこそこお客さんが入ってる店は、それほど協力的じゃなかったり。」 「まぁ、そうだよね。」 お客さんは増やしたいけれど、困っていなければ、今のままで負担が少ない方がいいって考えることも、わからなくはない。 「お客さんをもっと増やしたい!って積極的な店は、ちょっと余裕がなかったりするから…。」
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