第11章

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確かに、商店街のイベントとはいえ、各お店には協賛金やお手伝いをお願いしなきゃならない。 もともと、レンさんの会社がイベントを企画するために請け負っている仕事なのだけれど。 話し合いを円滑に進めることもまた、仕事の一つ。 商店街で、組合のようなものを作っていて、そこでも行事の費用の積み立てはしているけれど、1年で何度もイベントを開催すると、資金難は避けられない。 費用は抑えながら、お客さんが集まって楽しめるイベントって、全然思い浮かばない。 「ハロウィンは、子どもたちが楽しんでてよかったよな。」 「うん。 やっぱり、子どもが参加できるとか、子どもが楽しめるのがいいよね?」 「まぁ、子どもだけじゃなくて、親も同伴するだろうから、結果的に集客できるってこともあるか。」 「子どもって、なにがすきなのかなぁ。」 ぼんやり思い浮べてみても、具体的にはちっともわからない。 「夏祭りっていっても、商店街っていつも出店みたいだよね。」 商店街を思い浮べていたら、そんな言葉がポロリと出た。 「あはは、確かにそうかも。」 「夏祭りって、1日とか2日じゃなくて、もっと長期的にできないかな?」 「…大変じゃない?」 「うーん、なんていうか、大掛かりにしすぎないで、夏祭りウイークみたいな。」 「夏祭りウイーク…。」 「お待たせしました。」 サンドイッチと、飲み物が運ばれてきた。 ライ麦みたいなパンに、ハムやチーズと、レタスがしっかり挟まっていて、ボリュームがあるなあ。 「いただきます。」 「召し上がれ。」 「…おいしい!」 「良かった。」 おいしいものを、お腹いっぱい食べるって、なんでこんなに幸せな気持ちになるんだろう。
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