花ちゃんはクレープが好き

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花がクレープの話をするとき、あたしはなんだかちょっぴり嫌な気分になる。クレープに嫉妬するなんておかしいかもしれないけど、でもやっぱり、嫉妬しているのかもしれない。

「今日部活ないしさ、帰り岬屋行こうぜ。」
「〝行こうぜ〟って何よ。あんたは男の子か。」
「うん、体育会系」
「あはは。何部のイメージ？」
「えーと、サッカー部。」
「えーっサッカー部…？あたし野球部がいい。」
「野球部丸刈りだもん、やだよ～。」
「えー丸刈り良くない？ジョリジョリしてるじゃん。」
「えー。ヤダよ～。」

あたしはなんとかクレープの話にならないよう、話を変えていく。
「2組のさ、中原くんさ、かっこいいじゃん、野球部の」
「だーからあたしはボウズがヤなんだってば。」
「ていうか花は男とか興味なさそうだもんね～…。」
「かーもね～…」

キャッキャッと笑う女子が、ふたり。

あたしはなんとか話をクレープの方向に持って行かないようにと内心は必死だけど、花は楽しそうだ。花の楽しそうな顔を見ると、あたしはほんとうにうれしくなってくる。

うれしいけど、楽しいかは、わからない。