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2時間目の英語が終わった後、花があたしのところへやって来た。 あたしは花とクラスが違う。女の子同士の強烈なグループ仲間意識みたいのがあんまり好きじゃないあたしは、クラスの中でもなんとなく浮いた感じになっていて、だから別に用がない限りは、2つ離れた教室にいる花にも会いに行かない。どうせお弁当は一緒に食べるのだし、放課後も隣りで過ごすのだ。そんな風にゆるく構えて、いつも校庭の木とか草花とかをぼーっと眺めている。 そんなところへ、花は来た。 「やぁ花ちゃん…何よ?」 「あのさー悪いんだけども。非常に非常事態なので、数学の教科書貸しておくれませんかね?」 花の変な言葉使いに少し笑ってしまいながらも、いいよ、とあたしは数学の教科書を貸してやった。 「あーでもあたしも4時間目は数学だから、次の授業終わったらちゃんと返しに来いよ。」 「イエッサーボス!」 叫びながら、花は走って廊下へ出ていった。3時間目の授業が終わった後、花はちゃんと教科書を返しに来たので、あたしはとりあえず安心したが、ページの隅に落書きがされていた。 クレープの絵。 消しゴムでそれを消しながら、あたしはやれやれとため息をついた。
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