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放課後。 あたしと花は岬屋にいた。花は例の新作だという、なんちゃらスーパークレープを食べている。あたしは注文したカフェラテをゆっくり飲んでいた。 「ねぇ。」 何とはなく声をかける。 「んっ?」 花は口にクリームをつけたまま返事をした。 「あ、いや…」 なんか次の言葉を口に出すのがめんどくさくなって、あたしは花から目をそらす。はす向かいの席にカップルと思われる大学生の男女が座っていた。仲良くパフェを食べているようだ。 「ちょっとぉ…なぁによ?」 花があたしを呼ぶ。 あたしはあわてて目線を戻す 「あ…いや。」 「なに?」 「え~と、…ごめん、何言いたいか忘れちゃった。」 「えぇ、何よぅソレ~」 花が笑う。楽しそうだ。あたしも花に笑いかける。 カップルはまだパフェを食べ終わっていない。 本当は、言いたい事を忘れてなんかいなかった。 あたしは、「クレープ食べてるの、幸せなんだね」とか言おうとしたのだ。何故言うのをやめたかといえば、そんなこときかなくても花は、「幸せ」と答えるに決まっているからだ。あたしは笑う花が大好きだが、クレープを食べて笑っている時の花は正直あまり好きじゃない。 ほんとうに一番嬉しそうにしているからだ。 あたしと一緒にご飯を食べる時や、くだらない話で笑う時よりも。 カフェラテはもうとっくに飲み干していた。
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