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ペイトンの杖に魔力が集まるコトなく、それから数日が過ぎた。
腫れ物にでも触るように、みんながそっとしておく中、ブリーズだけが声をかける。
もちろんスルーされる。
ペイトンは孤立しつつあった。
あまりに痛々しい落胆ぶりにバートも声をかけづらい状況で、その日の修行を終える。
「生徒たちの様子はどうじゃな?バート君」
教官室に入ろうとして、また校長先生が後ろから声をかけてきた。
「校長…、1人だけなかなか魔力を集められない子がいまして、そろそろ答えを教えるべき時なのかもしれません…」
「んー…困ったのぅ。行き詰まりから抜け出せぬ子を救い出すのも、指導者の勤めかもしれぬのぅ。まぁ、よろしく頼みますよ」
自信なさそうにうつむくバートに微笑みかけると、またもニコやかにクルッと180°方向転換して去って行ってしまいました。
「自分で答えを出させてやりたかったが…仕方ない…か」
何か少しだけ気持ちが軽くなって、一つだけ小さく息を吐き出すと、バートも向きを変えて教官室に入って行った。
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