第1章

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カッカカッカッ チョークの音のみ響き渡る 静かな教室のなかで、 少女は一人 大音量で心臓を鳴らしていた (は? 意味わかんない) 教卓には 眼鏡をかけ 白衣を着 ふさふさした髪 だるそうな顔 見た瞬間理科の先生だと分かる格好の男が立っていた 「えー、それでは 自己紹介をお願いします。」 担任が口を開き 白衣の男が前に出て 自分の名を名乗る ―――二時間ほど前 「こんにちは!僕は執間令(しつまれい)っていうんだ!よろしくね! 君は?」 いきなり声をかけてきた男は 爽やかな笑顔で俺を見る 「は?」 「ちょっとお茶しない?」 (え?ナンパ?いやいや) 「俺男ですよ?ここ男子校ですし」 すると男は驚いた顔で 「何を言ってるの?君は女の子でしょう?」 ……沈黙 「何言ってるんですか!俺は男です!」 「いいや!君は女の子っ!入野陸ちゃん!僕は君に興味があるの!」 「はいー?!何言ってるんですか!俺は男ですって!」 知っていて当然のように呼ぶ 俺の名前 「っていうか!なんで俺の名前知ってるんですか!俺のプライバシーの侵害!」 「なんか日本語間違ってると思うけど! それはいずれわかるよ☆」 「☆やめてうざい」 「あー怖い怖い!」 男は可愛い感じでしゃべるが、 顔はふざけてるようには見えなかった ―――そして現在 「こんにちは、執間令です。 産休に入った副担の代わりに副担やります、よろしくお願いします」 (あの人!さっきの! でもなんかさっきと雰囲気違う) その男がこちらを向いた (あっ、目が合った…ってええ?!) 執間先生はこちらを見ると途端に笑顔になった 周りの人が訝しげにこちらを見ている (こんな平凡の俺を見て笑顔になるんだもん、そりゃそうだよ) 「陸さん!放課後理科準備室来てよ!話したいことあるの!」 先生の突然な変わりように周りの動揺は凄い 「え?あ、はい」 俺も先生と話したいことあったし、それに あの先生近くで見ると イケメン…なんだよね
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