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「別に、僕は君の行動をとやかく言うつもりはないけれど」
呆れて仕方がないといった様子で頭を振りつつ言う青年は慎を自分の前に立たせて説教をする。
朝っぱらから勘弁してくれ。
慎は寝不足の目を擦った。
コンコンと煙草のフィルターを机に叩き付けて中の葉をならしていると、青年は顔をしかめて言った。
「聞いているのかい」
「ああ、もちろん」
「うそつくなーっ!」
彼はぷりぷりしながら机をばんばん叩いた。
彼の名は武幸宏、慎が所属する白鳳大学の同級生だ。
自分より頭半分以上背が低い慎へ小言を言う武は、人好きのする豊かな表情を持ち、蝶ネクタイが良く似合う洒落者だ。ウェーブした髪をきっちり撫でつけて、とにかく男の装いに地道を上げるのに余念がない。
そして優秀だ。
慎より一つ下で誰に対してもお節介を焼きたがる。品行方正とは彼の様な人物のことを指す。清廉潔白を絵に描いた人物だ。
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