第三章 魔令嬢の影 前編 信仰はか弱き人間のために

4/34
前へ
/206ページ
次へ
一切の思考を挟むことなく依頼を受けることを承諾したヘリヤに、今まで黙っていたアリアがさすがに口を挟んできた。 「あ、そうでした。いけない私ったら。シフォンさん、依頼内容についてお聞かせ頂いてもいいですか?」 「ごめんなさい。私もまだ聞いてないの。悪いんだけど依頼内容はノエル司祭本人に聞いてくれないかしら? 報酬の方は一人当たり12000ゼニスになるわ」 金額を聞いて最初に反応したのはリュクスだった。 「ええやん。内容にもよるけど、その金額やったらウチは受けてもええで」 「僕も内容に問題がなければ、受けても構いませんよ」 リュクスに続いてアリアも同意する。 「そうねぇ。宗教なんて欠片も興味はないけど、悪くない金額ではあるわね。私も構わないわ。あなたたちはどう?」 「うん! 私はオッケーだよお母さん! 「……みんなが受けるなら、俺も反対はしません」 笑顔で即答するルミナに対して、ソウタの態度はいまいち煮え切らないものだった。 「決まったみたいね。ノエルさんなら今日は神殿にいるはずだから、お昼を食べたら訊ねてみるといいわ」 一応は話がまとまったことを見て取ったシフォンは、依頼内容が記された紙をテーブルに置いて、カウンターの方へと戻っていった。
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

423人が本棚に入れています
本棚に追加