第一章 始まりの村 前編 狙われた村

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プレアからちゃん付けで呼ばれたアリアが、顔を真っ赤にして訂正する。 「あらごめんなさい。パッと見、女の子にしか見えなかったから」 そう言ってプレアは微笑んでみせたが、リュクスですら気付いたことを、娘を持つ母親である彼女が気付かないはずがない。要するにわざとだ。アリアの性別を見抜いた上で、からかって遊んでいるのだ。 「さっきはすまなかった。いきなりきつい言い方をしてしまって。ルミナをかばってくれてありがとう」 「礼には及びません。神官として当然のことをしただけですから」 礼を言う必要はないと言いながらも、ソウタに礼を言われた神官少女はやはり嬉しそうだった。 そんな様子で即席臨時冒険者パーティの面々が戦闘終了後の会話に華を咲かせていると、酒場の店主が拍手をしながらやってきた。 「いやぁ、お見事お見事! やっぱ冒険者ってのは強いもんだな!」 「おっちゃん。誉めてくれるんはいいんやけど、さっきの約束忘れてへんよな?」 「宿泊代と夕食代をタダにしてくれ、だろ? それくらいおやすい御用さ。遠慮なく泊まっていってくれ。もちろん、そっちの雑種のお嬢さんたちもな」 「本当ですか? ありがとうございます!」 店主から宿泊を許されたルミナが、満面の笑みを輝かせた。 村のあちこちで歓声があがっていた。村中が魔族撃退に沸き立つ中、一人の少女が路地裏に身を隠しながら、ソウタたちに複雑な視線を向けていた。 「早いとこ用事を済ませたいんだけど、もう少しだけ様子を見るとしましょうか」 そう呟いたのは、さきほど酒場で蜂蜜入りミルクをあおっていた少女だった。
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