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そんな理由からソウタは油断なく、を通り越してやや過敏なほどに周囲を警戒しながら酒場を横切って歩いていく。
酒場を横切っていくこちらを見た村人や旅人たちが興味の色を強めたのは、こちらの出で立ちから三人とも冒険者であることを見てとったのだろう。
町ならばともかく、村では冒険者の姿を見かけることは珍しい。
冒険者とは、国営の冒険者ギルドの依頼を受けながら収入を得て生活をしている人々のことだ。
その仕事内容は魔物の討伐はもちろん、引っ越しの手伝いや荷物の配達、果ては人探しや浮気調査と多岐に渡る。要するにその街や村の便利屋のようなもので、ゲームや漫画で聞きなれた冒険者のイメージほぼそのままだった。
ソウタたちがある理由から村を出て冒険者になったのは、五年前のことだ。
冒険者生活五年といえば、そろそろべテランと呼ばれ始める頃である。ソウタもプレアもルミナも、ベテラン冒険者という単語から連想される屈強な姿とは程遠いが、その辺の強面の冒険者よりも度胸も経験も上であった。外見で判断してなめてかかろうものなら、手痛いしっぺ返しを受けることになることは間違いない。
ちなみにレーギア家の主人、つまりプレアの夫でありルミナの父親である人物は、ソウタが拾われた時点ですでに故人となっていた。
ルミナが生まれて間もない頃、彼は村の自警団の団長として魔物の討伐に参加し命を落としたのだとプレアが聞かせてくれた。
「いらっしゃいませ、ご宿泊ですか?」
カウンターの前まで来ると、店主が笑顔で応対してくれた。人が多く集まる場所ということで、だいたいどこの町でも村でも宿屋と酒場はセットになっていることが多い。それ故に旅人は町や村に着いたら、まず一番に酒場へと向かうのだ。
決して大きくない村の宿屋にしては、やけに丁寧な接客態度だ。今までの経験上、小さな村の宿屋は街の宿屋に比べて無愛想で、接客態度も良いとは言えないことが多かったがここは大丈夫そうだ。
「ええ。三人で一部屋なんだけど、構わないかしら?」
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