第1章

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膝の上に王子を抱いていることが、少し彼女を強くしているのかもしれない。 「聞かせて頂けませんか? あなたのことを」 「……」 「聞かせてください」 もう一度バックミラー越しに目が合う。 恐らく喬久が見たのは栞ではなく、膝の上で眠っているカイトの姿。 「……彼がそんな風に気持ちよく眠っている姿を久しぶりに見ました」 「そうですか」
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