第三十四話 八月二十四日土曜日 湯あたり

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 先輩と俺は同時に発射し……その後、お互いグッタリしながらも汗とか色々を流し合った。取り敢えず洗面台に常備されたバスローブをはおり、二人揃ってヘロヘロと寝室へ向かう。  俺はそのまま倒れこむようにうつ伏せに、先輩は背中から落ちるように仰向けにベッドへ倒れこんだ。 「……あち~……あ~……目ぇ回るぅ~」  先輩は大の字になったまま濡れたタオルを顔半分に乗せ、目の辺りに手の甲を被せ愚痴った。  愚痴るってどーよ。俺が愚痴りたいくらいだよ。  ベッドの枕元に寝転がる先輩。  顔を向け、重い瞼を感じながら先輩をボーッと見続けた。 「……う~……ちょっと待ってろ……」   先輩は俺が何も言ってないのにそう言うと、重そうな身体をムクリと起こしフラフラしながら立ち上がった。  キッチンへ向かったらしい。  冷蔵庫を開ける音がした。  それからペットボトルのミネラルウォーターを二本手に戻ってきた先輩。俺の頬にひんやり冷たいボトルをくっつけてきた。その気持ちよさに目を閉じてみる。 「ホラ……飲んどけよ」 「どうも」  再び瞼を持ち上げ頬のペットボトルを受け取った。  先輩はベッドのへりにドカッと座り、ペットボトルの水をゴクゴクと音をたて一気に飲む。それを見て俺も、うつ伏せのまま上体を持ち上げ、肘を突いて水を一口頂いた。  キンキンに冷えた水がスッと喉を通り抜けていく。  ふは……。  手の中のペットボトルが果汁二百五十パーセントの蒲萄ジュースじゃなかったことに心底、感謝の念を抱いた。 「ぷはっ……は~……あ~ダメだぁ。まだクラクラする……」   再び先輩はぼやいてベッドの上で大の字になった。  そして、ゴロンと俺の方へ身体を向けると、俺の腰に手を回しグイと引き寄せる。  慌ててペットボトルの蓋を閉めた。
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